インターンシップは、企業が学生に就業体験を提供する機会です。産学連携で実施するキャリア形成支援には、4つのタイプがあります(下表参照)。このうち、タイプ3「汎用的能力・専門活用型インターンシップ」とタイプ4「高度専門型インターンシップ」がインターンシップと位置づけられています。また、汎用的能力活用型は5日間以上、専門活用型は2週間以上という日数や、就業体験を必須とするルールもあります。
タイプIのオープンカンパニーは1日以内で実施されインターンシップには該当しませんが、短期で効率的に企業や業界を学ぶことができます。本書では日数などの規定でインターンシップに該当しないものを含めて「インターンシップなど」と記載します。
従来、インターンシップなどに参加した学生の情報を企業が採用活動に利用することは禁じられていましたが、特定の条件に合致する場合は利用できることになりました。また、2026年3月卒の学生については、専門活用型インターンシップに参加した学生の面接を6月以前に実施できるようになります。インターンシップと就職活動の関連性が高まっているのです。
企業によってはインターンシップの開催情報をホームページに掲載してることがあります。興味のある企業については趣旨や応募方法などをチェックしておくとよいでしょう。また、キャリアセンターの情報や就職情報サイトをチェックすると、さまざまな企業のインターンシップをまとめて確認することができ、効率的に企業を探すことができるでしょう。
大学や短大のキャリアセンターは企業との交流を続けながら、多くの情報を蓄積しています。先輩のレポートなどを確認できる場合もあります。自分の将来への希望を伝えながらアドバイスをもらい、インターンシップ先を紹介してもらいましょう。
インターンシップ公募用ページを用意している企業では多くの場合、ホームページから応募できるようになっています。参加条件を確認できるほか、前年度のインターンシップの内容など情報を掲載している企業もあります。
多くの就職情報サイトには、3月以前も就職準備イベントや、インターンシップなどの情報が掲載されています。業種などさまざまな検索が行え、申込方法も分かりやすくて便利です。
企業は、採用計画と同様に、インターンシップなどについても毎年度、実施の有無や時期・期間・内容の計画を立てています。その計画に基づいて、申し込みの開始時期や方法についても決定し、自社のホームページや就職情報サイトなどで広報を行っています。インターンシップなどの参加募集では、履歴書や応募シートの提出をもって応募とすることが一般的です。また、必ずしも希望者全員を参加させられないため、書類や面接など採用と同様の選考を実施する企業もあります。応募書類や面接のポイントは採用の場合と変わりませんから、本書を参考に準備しましょう。
8月〜9月、1月〜2月の学校の長期休暇中に実施している企業が多いようです。また近年は、11月〜12月に実施する企業も多くなっています。企業によっては、通年で実施している場合もあります。
2022年4月〜2023年3月にインターンシップなどのプログラムを実施した企業に実施期間を聞くと、「半日」(57.9%)、「1日」(39.7%)の順に多く、短期プログラムを中心に実施されていました。短期プログラムでは就業体験などは難しく、また日数の規定からもインターンシップには該当しませんが、内容がコンパクトで気軽に学ぶことができます。また、企業と学生双方の負担も少ないため多く実施されています。
広く全学科の学生を対象とするものや、理系学科に限定したプログラムを実施している企業もあります。企業によっては複数のプログラムで異なる対象を設定している場合もあります。
大手企業のなかには100名以上の募集をしているところもありますが、ほとんどは数名~数十名といった募集人数です。
日当として支給するところと支給しないところがあり、企業によって異なります。大手企業ほど報酬のない場合が多いようです。また、日当はなくても食費と交通費を支給することもあります。
実際の社員と同様の仕事に就く場合もあれば、学生同士でミーティングしながら一つの課題に取り組む場合もあり、企業によって、また募集セクションによって異なります。
対面によるプログラムでは、実際に職場でのコミュニケーションを経験し、雰囲気を体感できるといったメリットがあります。講話を中心に業界・企業について理解を深めたり、社員に同行して顧客への営業を実戦したりするなど、社会や仕事の実際を体験できるさまざまなプログラムが提供されています。
感染症対策もあり、企業は通常業務のテレワーク化やオンライン化を進めています。そこで、インターンシップについてもオンランで実施する企業が増えてきました。対面とは異なるメリット·デメリットがありますが、業界や企業、仕事内容について理解を深めるための工夫がされています。
対面のプ口グラムに比べると社員とのコミュニケーションや業務体験のリアルさなどに課題はあるものの、比較的短期間、短時間に効率よく学べるものが多く、複数の企業のプログラムに参加しやすいといったメリットがあります。
対面によるプログラムとオンラインによるものを組み合わせて、さまざまな業界や企業の仕事を研究する機会として利用しましょう。
産学が協働して取り組むキャリア形成支援には下記4つのタイプがあり、タイプ3とタイプ4がインターンシップです。インターンシップの実施で取得された学生情報は、一定の条件で企業の採用活動に利用することができるものとされています。
キャリア形成支援のタイプ | 対象年次 | 目的 | 就業体験 | 実施期間 |
---|---|---|---|---|
タイプ1 オープン・カンパニー | 年次不問 | 個社・業界の情報提供やPR | なし | 単日 |
タイプ2 キャリア教育 | 年次不問 | 教育 | 任意 |
指定なし (短期〜長期) |
タイプ3
汎用的能力・専門活用型 インターンシップ |
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必須 |
短期:5日以上 長期:2週間以上
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タイプ4 高度専門型インターンシップ |
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必須 | 長期2ヶ月以上 |
インターンシップに参加するまでの実際の流れを見てみましょう。企業ごとに募集要項·実施方法が異なるので、しっかり情報収集をしましょう。
事業の概要から、部門ごとに異なるさまざまな業務について知ることができる。
職場の雰囲気を伝える工夫も。
企業がどのようなステップで事業を企画し、実行していくかを課題解決の手順を踏んで体験できる。
目標を設定しつつ、実際の業務を体験できるため、入社後の具体的な仕事のイメージを持ちやすい。
事業フィールドや製品の紹介など、業界・企業の特徴をコンパクトにまとめてあり、気軽に参加できる。
感染症対策など現在の環境も踏まえて、実際の仕事内容を見学し、先輩社員に直接、話を聞くことができる。
私は人と関わることが好きなので、インターンシップでは営業を体験させてもらいました。インターンシップを通して、会社で活躍している人から直接アドバイスをいただくことができ学びや自分の成長へとつなげることが出来たと実感しています。この経験を活かし、将来仕事に就いたら「お客様にとって一番の存在になること」を目標に頑張っていきます。